一五、二十二願事 【出拠】  『大経』第二十二願文「(二二)設ひ我仏を得んに、他方仏土の諸の菩薩衆、我が国に来生して、究竟して必ず一生補処に至らん。其の本願の自在の所化、衆生の為の故に、弘誓の鎧を被て、徳本を積累し、一切を度脱せしめ、諸仏の国に遊びて、菩薩の行を修し、十方諸仏如来を供養し、恒沙無量の衆生を開化して、無上正真之道を立せ使めんをば除く。常倫に超出し諸地之行現前し、普賢之徳を修習せん。若し爾らずば、正覚を取らじ」  及び同成就文。 【義相】  一、『論註』に就て解す。  @本国位相=「来生我国〈乃至〉一生補処」【下巻不虚作の文】  A他方摂化=「除其本願等」【三願的証の文】  二、高祖に就て解す。  @願文を解す=「来生我国」の生は、初生速極証大涅槃一果究竟の義を顕はし、其より降って一生補処、及び随類応同の因相を示現す。共に以て利他のための因相なれば、皆従果降因の還相とする也。  A祖釈取り扱い。  1還来穢国=正信偈の一因【帰入等の二句】一果【得止等の二句】の上の還相廻向とす【遊煩等の二句】。  2従果降因=五果皆還相廻向に属す。『証巻』還相下に論註の五果の文を引くもの是なり。  3利他円満=行巻追釈段に論註の三願的証の文を引くは二十二願の利他即速得菩提とする意なり。又証巻に利他円満之妙位といひ、略書の証下に利他教化地之果といふも亦是意なり。  4五果の中近大二門は此土の益とし、宅屋を合して彼土涅槃の一果とし、第五門は還相の益とす。(二門偈の意) 【問答料簡】 問。『論註』と高祖と同別如何。 答。『論註』は従因向果にして、皆阿耨菩提に向かう相とす。此の中に二あり。 一、本国位相=不虚作住持功徳、及び菩薩四種功徳(本国)は不動の方にして而も(他方)而至の徳を具ふ。究竟必至一生補処の文を据りとして、遊諸仏国已下の而至を収む。 二、他方摂化=除其本願已下に据して、他方に出でゝ随類応同す。是利他行成就の相にして三願的証の意、而至にして以て不動を妨げず。不動而至、而至不動相融して、浄土の大菩薩の徳を顕はす。 而して此の二義共に速得菩提に至るの従因向果の法相なり。高祖は来生を以て一果究竟とす。故に一生補処已下皆従果降因の相なり。還相の相たは遊諸仏国の処に出たれども、此願の始終は一従果降因の利他教化を顕はすが故に、還相廻向の願とし給ふ。然して此の還相廻向の取り扱いに四種あり。(前図を見よ) 【已上】