一九、華光出仏 【出拠】  一、『大経』上巻(三十三丁)「一一華中〈乃至〉出三十六百千億仏」等文。  二、『讃阿弥陀仏偈』(十五丁)「一一華中所出光」等文。  三、『和讃』「一一のはなのなかよりは」等文。 【義相】 問。華光出仏の説由如何。 答。華光出仏を説くは諸仏の本国を顕はさん為の故なり。何者一、『楞伽経』の文に合するが故に。其の文に曰く「十方諸刹土K有法報身化身及び変化皆従無量寿極楽界中出」と【『口伝鈔』四十九丁所引】。二、序分の去【過去】来【未来】現【現在】仏々相念の文に応ずるが故に。此の意亦『般舟三昧経』の「三世諸仏依念弥陀三昧成等正覚」の文に合す【『口伝鈔』四十九丁K引】。『大経』は十劫門に約すれども、他経は久遠門に約す。共に本師本仏の義を説くものなり。 問。経は光明を三十六百千億として、其の一一の光明に三十六百千億の仏身を出すと説く。然るに『和讃』には仏も光明も各々三十六百千億とあるは如何。 答。経文は華【体】を本とし、光明【相】を次とし、仏身の用を末とす。『和讃』は仏を本とし光明と仏身とを合せて末とし、仏即光々即仏と融即することを示すなり。 問。三十六百千億の数は何れより割り出したるものか。 答。百千億とは十万億なり。華色に青黄玄白朱紫の六色ありて、一色毎に十万億の数ありて十万億の仏あり。而して六色互いに照らして六々三十六となるなり。【十万億の数は『小経』及び『梵網経』所説の数に応ず】。 問。此の仏身は三身【法報化の三身】中何れなりや。 答。一切に通ず。『楞伽経』の所説は非仏身に及ぶ、『大経』の所説は報身を主とす。『讃偈』及び『和讃』は十方摂化を顕はして「摂化随縁不思議なり」と云ふ。又下巻の始め第十七願成就の文は報身を本とせり。又経の身色紫金とは、法身は無相にして応身は弊垢身なるが故に、紫金身とは通途にては、初地已上の所見の他受用報身に当れば、『大経』の当面は報身なり。(教主身儀題下参照) 【已上】