二六、霊山現土 【出拠】 『大経』下巻「仏阿難につけたまはくなんちたちてさらに衣服をとゝのへ合掌恭敬して無量寿仏を礼せよ【已下】」《九四》 【義相】 一、現土の所由上来の所説の謬りなきことを証験せんがための故なり。(彼の『観経』の光台及び七観、『小経』の六方証誠、亦此に同じ。諸経にも例あり。) 問。如何なる義を証験するや。 答。左の如し。 ①一乗の義を証す。=上の「一乗を究竟して彼岸にいたり」《六五》を承く、金剛囲山等の諸山を放光して、以て皆同一色ならしむるものこれなり。 須弥山=実大乗。……経末の諸仏経道。 金剛囲山【七金山を指す】=権大乗。……経末の菩薩勝法。 大小諸山=小乗。……経末の声聞縁覚。 皆同一色唯見大水=弘願一乗法。 皆悉隠蔽とは=二乗三乗有ること無し。……唯是誓願一仏乗の謂なり。 ②信疑得失を験明す。=下に弥勒所問に応じて胎化分別して、信疑得失を顕示するもの是なり。 二、現土の浄穢須弥山及び大小諸山あるが故に浄土の侭に非ず、皆同一色普照一切諸仏世界を見るが故に穢土の侭にあらず。是一乗法及び信疑得失の相を現験したる者なり。 三、大観同別 霊山現土と『観経』七観の七異と三同。 1・七異とは。『大経』『観経』 ①二尊一〈弘願〉異〈要弘〉の異。 ②不来〈彼土〉来〈来応〉の異。 ③座〈説法〉立〈住立〉の異。 ④絶対〈一色〉相対〈七観九観相対〉の異。 ⑤智門悲門の異。 ⑥一仏三尊の異。 ⑦依正但正の異。 2・三同とは。 ①尽十方無碍光〈大経〉光明熾盛不可具見〈観経〉の故。 ②来不来不二の故『玄義分』に「弥陀は即ち彼の国より来迎す、彼に喚び此に遣はす」(Ⅰ・四四三)等〈観経の意〉 ③悲智相即の故。 【因弁】 問。当流安置の仏体は何れの経を依憑とするや。 答。智暹師は『大経』に依ると云い、僧鎔師は『観経』に依ると云う。今曰く『大観』を合取するならん。両経に付合するを以て尊崇するものなり。 【已上】