四二、慇懃付属 【出拠】 一、『法事讃』下(二十一丁右)「世尊の説法、時将に了りなんとす、慇懃に弥陀の名を付属したまふ」(T・六〇五) 二、『口伝鈔』(五十二丁)「一代の説教むしろをまきし肝要、いまの弥陀の名願をもて付属流通の本意とする条」(V・二六) 【義相】 問。慇懃付属の義相如何。 答。一、一義に『観経』に名号付属する上に、更に『小経』に付属するが故に、慇懃と云ふ。 二、一義に『大経』には法実を付属し、『観経』には機実を付属して、機法の付属終わる。『小経』の付属は此の二経の外を出でず。故に慇懃と云ふ。 三、一義に舎利弗に三十六度迄告げ給ふ、一代の結経なれば始中終を付属として、舎利弗に告ぐること慇懃なり。 四、一義に『大経』は弥勒に付属し、『観経』は阿難に付属し、『小経』は一切大衆に付属す。一人に限らざるが故に慇懃と云ふ。 此の如く多義ありと雖も、第三義穏当ならん。 【已上】